宇和の豆腐
豆道楽
※記事内容は2023年7月発刊時のものです。

大豆を育て、豆腐をつくる。
最初から最後まで一貫して携わるからこそ、そこには迷いも妥協もない。
「僕たちは地域の風景をつくっている」というまっすぐで純粋なつくり手の言葉の真意を探っていく。
自分が食べたいと思うものを届けたい
工場に足を踏み入れると、大豆を炊いた濃厚な香りと熱気の中でせわしなく作業をする人たちの姿が目に入る。毎朝5時から昼頃まで行われる豆腐づくりの真っ最中だ。




ペースト状の大豆を釜で炊き、絞り機にかけると、注ぎ口から濃厚な豆乳が勢いよく出てくる。
豆道楽の豆乳は一般的なものより水の割合が少ないため、濃厚で糖度が高い。これが美味しさの決め手だ。

「水の割合を増やせば一度にたくさんつくれるけど、美味しい豆腐にはならない。自分が食べたいものを作らなければ意味がない」と代表の渡邊智幸さん。
僕らは絶滅危惧種みたいなもの

豆道楽は豆腐屋ではなく農家だ。原材料となる大豆は、自ら栽培している。
1粒の種をまくところから責任をもち、大豆を育む土のこと、生長の過程、収穫から乾燥に至るまですべて知り尽くしているからこそ、妥協のない豆腐を届けることができる。

「自分たちが育てた大豆で豆腐をつくっている農家なんてごく僅か。絶滅危惧種みたいなもんです」と笑う智幸さんは、誇らしげだ。
地域の風景をつくる仕事
豆道楽では昨年から緑肥を取り入れ、地力の弱った畑にひまわりを植えている。取材に伺った7月上旬は、約20万本のひまわりが地域のあちこちで咲き誇っていた。
管理する畑は年々広がり、大豆以外の作物も含めると2,500アールになる。
「農業は地域の風景をつくる仕事」と語る智幸さんの言葉どおり、豆道楽の実直でまっすぐな想いが、ここ西予市宇和地区の恵み豊かな景色のなかに息づいている。

