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山間米|高知県四万十市|Vol.30

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山間米|高知県四万十市|Vol.30

山間屋の山間米

※記事内容は2024年9月発刊時のものです。

山間屋のはじまり

高知県四万十市西土佐は、四万十川の中流域に位置する山間の地域。

今回取材したのは西土佐で「株式会社山間屋」を営む中脇裕美さん・夢之進さん親子。
はじまりは約18年前。旧西土佐村役場に勤めていた裕美さんは、地域の産品開発を担当することとなった。
そこで生まれたのが〝山間米〞と〝いちごようかん〞だ。山間米は四万十川支流の谷水で育った西土佐地区のヒノヒカリという品種を指す。山間米組合員が育てており、安心して食べられるように独自の基準を定めている。あるものを商品化するだけではなく、更に価値を高めて商品にする為に地域で幾度も協議を重ねた末に誕生した。

「作って終わりじゃなくて、『これを売らんと!』と休む間もなく地域の外に営業に行ったわ。地産地消という言葉があるけど、小さい地域では人口減少と共に落ち込んでしまう。だから外貨を稼ぐ〝地産外消〞が必要やと思うたがよ」。

僕たちは山の問屋”として100年後も在り続けたい

地域の外に向けて商品を設計すること、それを評価してもらうことがやりがいだと感じた裕美さんは、高校卒業後から30年以上勤めた旧西土佐村役場を51歳で早期退職。「役所は2、3年で部署が
変わる。商品開発をしたはいいけどこれを誰が売り続けるの?マニュアルで後任者に引き継ぎはできるけど、心根までは引き継げんと思った」と当時を振り返る。

そんな裕美さんのパワフルに突き進む姿を間近で見ていた息子の夢之進さんは2016年に自らも山間屋に加わった。そして2年前に代表を譲り受け、「株式会社山間屋」を設立。「僕は山間屋を会社にしたいと常々考えていました。母がいるから成り立つものではなくて、今後この地域で100年後も在り続けるようなものにしたいんです」と語る。

事務所では米の風味を保つために無酸素封入し、形を整えてひとつひとつ手作業でパッケージする。地道にも見える作業だが、だからこそ1つの米袋には1人の生産者の田んぼで収穫された米を入れることができる。「その時一番美味しい組合員さんのお米を入れてお届けしています。意外と支流の水や季節によってこれが違うんですよ」と夢之進さん。

つくり手と二人三脚 続けていく、続いていく

山間米の栽培は四万十川の支流沿いに点在している。案内してもらったのは須崎集落にある四万十山間米組合長の刈谷さんの田んぼだ。周囲には水路が張り巡らされ、目黒川のよく冷えた谷水が流れこむ。

10月に新米の収穫時期を迎える稲は青々と揺れていた。「山間米は甘みと粘りが特徴なんですが、僕たちにとってはいつものお米。でも四万十川もその水が育むお米も本当に恵まれた環境と手間暇惜しまない生産者による手しごとの結晶です」と話す夢之進さんの顔はどことなく嬉しそう。

「作る人がいないと売ることができないから、地域の方々にこの仕事をさせてもらっている感覚があります。僕たちがやっていることは山の恵みにフィルターをかけて発信する、まさに山の問屋です」。この言葉を聞いて、ふと辺りを見渡すとこの美しい田園の農村風景もそこに暮らしがないと成立しないのだと気づかされる。つくり手の生産力や品質の高さが本来されるべき評価を受けるように山間屋がプロデュースして回していく、地域と二人三脚のような姿がなんとも印象的だ。

えひめ食べる通信 2024年9月号

株式会社山間屋

〒787-1605 高知県四万十市西土佐長生156-2

株式会社山間屋 山間米